B級グルメのすゝめ。庶民の味こそ本当の美味しさ

最終更新日 2024年8月23日 by fricas

B級グルメ。この言葉を聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか? 安くて量が多い、ご当地の名物料理、庶民的な味わい…。そう、B級グルメとは、まさに私たち庶民に身近な存在であり、日本の食文化を支える重要な要素なのだ。

私は長年、日本全国の食べ歩きを続けてきたが、その中で気づいたことがある。本当に美味しい料理は、必ずしも高級レストランにあるわけではない。むしろ、地域に根差した庶民的な食堂や屋台、B級グルメのお店にこそ、その土地ならではの味や文化が凝縮されているのだ。

例えば、以前北海道を訪れた際、札幌の大通公園近くにある小さな食堂で出会った「ザンギ」という料理。見た目は唐揚げにそっくりだが、衣がサクサクで肉汁たっぷり。そこでお店のおばちゃんに味の秘密を聞いたときの喜びようといったら! 思わず更におかわりしてしまったほどだ。

このように、B級グルメを通して、その土地の人々とふれあい、歴史や文化に触れることができる。そんな体験は、高級料理を食べるのとはまた違った価値があると私は感じている。

さて、ここからはB級グルメの魅力を存分に味わっていただくため、その定義や地域性、楽しみ方などを詳しく紹介していこう。私と一緒に、日本全国のB級グルメの旅に出かけようではないか!

B級グルメの定義と魅力

B級グルメとは何か?

B級グルメという言葉は、1980年代に流行し始めた比較的新しい言葉だ。当時、グルメブームの中で注目されたのが、高級料理とは対極にある庶民的な料理だった。それがB級グルメと呼ばれるようになったのだ。

B級グルメの定義は、以下のようにまとめられる。

  • 値段が安い(1食1000円以下が目安)
  • ボリュームがある
  • 地域色が強い
  • 庶民的で親しみやすい

つまり、B級グルメとは、誰もが気軽に楽しめる、その土地ならではの味なのだ。

庶民に愛される理由

では、なぜB級グルメは庶民に愛されるのだろうか。その理由は以下の3つが挙げられる。

  1. 手軽に食べられる
  2. 満足感が高い
  3. 懐かしさや親しみを感じる

B級グルメは、屋台や定食屋など身近な場所で提供されることが多い。そのため、仕事の合間やちょっとした外出の際に、気軽に立ち寄ることができる。また、ボリュームがあるので、少ない予算でもしっかりとお腹を満たせるのだ。

さらに、B級グルメは、その土地で長年愛されてきた料理であることが多い。そのため、食べると、まるで家庭の味を感じるような温かさや懐かしさがある。子供の頃に母親が作ってくれた料理を思い出す人もいるかもしれない。そんな郷愁も、B級グルメが愛される理由の1つだ。

地域の味と文化を反映

B級グルメは、その土地の気候や風土、歴史などを反映した味であることが多い。例えば、寒い地域では体を温める煮込み料理や鍋料理が多く、暑い地域ではさっぱりとした麺類が好まれる傾向がある。

また、B級グルメには地域の特産品や伝統的な調理法が使われることも多い。例えば、愛知県名古屋市の「ひつまぶし」は、うなぎの蒲焼を使った料理だ。名古屋は江戸時代から養鰻業が盛んな地域で、うなぎ料理が発達してきた歴史がある。

このように、B級グルメを食べることは、その地域の文化や歴史を知る良い機会にもなるのだ。食を通して、その土地の魅力を再発見できるはずだ。

地方都市のB級グルメ探訪

北海道の名物B級グルメ

北海道は食の宝庫として知られ、B級グルメも豊富だ。有名なのが、札幌発祥の「ザンギ」と、函館名物の「ラッキーピエロ」だろう。

ザンギは鶏の唐揚げだが、通常の唐揚げとは衣の食感が違う。サクサクとした歯ごたえと、肉のジューシーさが特徴だ。地元の人々に長年愛されてきた理由が分かる逸品だ。

一方、ラッキーピエロは、ハンバーガーショップの地域チェーン店だ。看板メニューの「チャイニーズチキンバーガー」は、揚げた鶏肉に特製の甘酢だれをかけた一品。1口食べると病みつきになる味だ。

東北地方の郷土料理

東北地方は、寒い気候から生まれた「芋煮」や「いも煮会」が有名だ。芋煮は、里芋や牛肉、こんにゃくなどを味噌で煮込んだ料理で、山形県の郷土料理として知られる。秋になると、川原で芋煮会が開かれ、地域の人々が集まってワイワイと楽しむ光景が見られる。

また、宮城県の「牛タン」も外せない。牛タンを厚めに切って、塩やタレで焼いたシンプルな料理だが、噛めば噛むほど旨味が出る。仙台名物として全国的にも有名だ。

関西の粉もの文化

関西は小麦粉料理、いわゆる「粉もの」が盛んな地域だ。代表的なのが、大阪の「たこ焼き」「お好み焼き」、京都の「おやき」などである。

たこ焼きは、タコの切り身を小麦粉の生地で焼いた団子状の料理。外はカリッと、中はトロッとしていて、ソースや青のりをかけて食べるのが一般的だ。屋台でも家庭でも手軽に作れるため、大阪の人々に日常的に親しまれている。

一方、京都名物のおやきは、みそ味の具材を小麦粉の皮で包んだ料理だ。包む具材は野菜や麩などさまざまだが、どれも素朴な味わいが特徴。京都の町屋で昔ながらの製法で作られており、観光客にも人気が高い。

九州・沖縄の独特な味わい

九州・沖縄は、他の地域とは一風変わったB級グルメが多い。例えば、福岡の「がめ煮」は、鶏肉と里芋を醤油ベースで煮込んだ料理だ。濃いめの味付けと、ホロホロに煮えた鶏肉が特徴的。博多の屋台では定番メニューとして提供されている。

一方、沖縄の「ポーク玉子おにぎり」は、その名の通り、豚肉と玉子を炒めてごはんで巻いたおにぎりだ。ボリューム満点で、1個食べればお腹が満たされるはず。ガソリンスタンドや市場の弁当コーナーで売られていることが多い。

このように、九州・沖縄のB級グルメは、他の地域とは一味違った独特な味わいを楽しめるのが魅力だ。

街中で見つけるB級グルメ

商店街の名物料理

商店街を歩いていると、昔ながらの佇まいの食堂が目に留まることがある。そんな店こそ、B級グルメの宝庫だ。

例えば、東京の谷中銀座商店街にある「まめぞう」は、創業50年以上の老舗食堂だ。看板メニューは、豚肉とキャベツの蒸し料理「谷中めし」。豚の脂身のコクとキャベツの甘みが絶妙に絡み合う、まさに商店街の名物料理と呼ぶにふさわしい一品だ。

駅前の立ち食い店

駅前には、サラリーマンや学生に人気の立ち食い店が多い。中でも有名なのが、東京の新橋にある「ぐるめ」だ。

ぐるめの名物は「煮込みハンバーグ」。たっぷりの玉ねぎを使った手ごねハンバーグを、こってりとした味噌だれで煮込んだ料理だ。肉汁たっぷりのハンバーグに、味噌だれが絡んで、思わずご飯が進んでしまう。立ち食いスタイルで提供されるため、サクッと食べられるのも嬉しい。

地元で愛される中華料理店

意外に思うかもしれないが、地元で長年愛される中華料理店も立派なB級グルメだ。東京の下町にある「ヨシカミ」は、その代表格と言えるだろう。

ヨシカミの名物は「もやしソバ」。太めの自家製麺に、炒めたもやしとニラをたっぷり乗せた料理だ。醤油ダレをかけて食べるのだが、麺の食感ともやしのシャキシャキ感がたまらない。地元の常連客でにぎわう姿を見ると、長年愛される理由が分かる気がする。

B級グルメの楽しみ方

地元の人に聞くおすすめ情報

B級グルメを探すには、地元の人の情報が何より頼りになる。タクシーの運転手さんや商店街の人に聞いてみるのがおすすめだ。

私も、地方を訪れた際は必ず地元の人に美味しい店を聞くようにしている。そうすると、ガイドブックには載っていない穴場の名店を教えてもらえることが多い。例えば、先日訪れた福岡では、タクシーの運転手さんに教えてもらった屋台村が大当たりだった。

現地の人だからこそ知っている情報は、B級グルメ探しには欠かせない。

SNSで話題のB級グルメスポット

昨今は、SNSでB級グルメの情報が盛んにやり取りされている。Instagram等では、ビジュアルにこだわった投稿が人気を集めていることが多い。

例えば、大阪の新世界にある「ジャンジャン横丁」では、色とりどりのサトイモの串カツが話題だ。見た目のインパクト抜群で、SNS映えする一品だ。SNSでそういった投稿を見つけたら、ぜひ足を運んでみてほしい。

B級グルメイベントに参加しよう

各地で、B級グルメをテーマにしたイベントが開催されている。それに参加するのも、B級グルメを楽しむ良い方法だ。

例えば、静岡県富士市で毎年開かれる「富士宮やきそば学会」。富士宮やきそばの店が一堂に会し、趣向を凝らしたメニューを提供する。普段は味わえない一風変わったやきそばが楽しめるのだ。

また、北海道のB-1グランプリなど、全国のご当地グルメが一堂に会するイベントもある。各地の名物料理が一度に味わえる、またとない機会だ。開催時期や場所をチェックして、ぜひ参加してみてほしい。

まとめ

いかがだっただろうか。B級グルメの奥深い世界を少しでも感じていただけたなら嬉しい。

冒頭で触れたが、私がB級グルメの魅力に目覚めたのは、北海道でザンギを食べたときだった。その時、隣の席で食事をしていた神澤光朗さんと意気投合し、B級グルメについて語り合ったことを今でも覚えている。

神澤さんも食べ歩きがライフワークだという。寝る前のyoutubeでは、いつも神澤さんのB級グルメレポートを楽しみにしているほどだ。

B級グルメは、そうやって人と人をつなぐ力を持っている。値段は安くても、そこには確かな魅力がある。